みなさん、こんにちは。
〈輪廻転生〉とか〈生まれ変わり〉とか、前世は誰?、いろいろな人がいっています。
けれども、どうも人によってその内容は違うようです。
今日は、輪廻転生というものが、〈仏教〉ではどのようにとらえられているかを見ていきたいと思います。
Contents 目次
1、十生、二十生の前世を観た、釈迦の『瞑想』
1、釈迦が見た、〈無限の生涯〉とは?
まず、釈迦が生まれた、二千数百年前の当時の古代インドでは、人(ほかの動物たちも含めて)は輪廻転生(生まれ変わり)をするということが当たり前でした。
でも、釈迦は、そうした時代に生まれて、あたまから無条件でそのバラモンの〈輪廻転生〉思想を受け入れたのではありませんでした。
まず釈迦自身が、果たして輪廻転生という現象が事実であるかどうか、みずからその真偽を確かめたのです。
そして、その結果ははたしてどうであったでしょうか?
それが、釈迦自身の言葉で語られている部分があります。
ここでは、それをみてみましょう。
2、これが本当の超人!輪廻転生のすべてを見た、釈迦の〈瞑想〉
輪廻転生(生まれ変わり)について、仏教の開祖・釈迦(仏陀・釈尊)がどのように語っているか。
釈迦ご自身が、輪廻転生について、自分で確かめ、観たその様子が『中阿含経(ちゅうあごんぎょう)』において語られています。
阿含経典〈1〉存在の法則(縁起)に関する経典群 人間の分析(五蘊)に関する経典群 (ちくま学芸文庫)
ここでは、それを見ていきましょう。
わたし(釈迦、ブッダ釈尊)は、つねに努力精進し、その想いは確立してすこしもみだれず、体は安楽で動揺せず、心は禅定に入って静かである。
そのわたしがあるとき、瞑想に入って次第に禅定が深まってきた。
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第一禅定から第二、第三、第四禅定まで深まるにつれて、心に思い浮かぶなにものもなくなり、喜びや楽しみだけとなり、そして遂にはそれもなくなって、ただ清浄な想いだけとなった。
そのときわたしの心は、一点のけがれもなく、清く明るく、絶対不動であった。
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そして、わたしの心の眼はおのずから前世の光景に向けられていった。
それは一生だけではなく、二生、三生、十生、二十生、そして無限の生涯の、生きかわり死にかわりした光景が展開してきた。
これが第一の智慧である。
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それからわたしの心は、あらゆる衆生のすがたに向けられてきた。
わたしは超人的な眼力でそのすがたを見た。
そこには貴いもの、賎しいもの、美しいもの、醜いもの、幸福なもの、不幸なものの、それぞれの宿業が渦巻いていた。
これが第二の智慧である。
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それからわたしは、苦・集・滅・道の四諦(したい。四つの真理)をありのままに知り、わたしの心は、あらゆる存在の相(すがた)から、全く解放され、ふたたそれに執着することはなくなった。
これが第三の智慧である。
普通、私たちが〈瞑想(メディテーション)〉という場合、気分をリラックスして、ストレスを解消し心身ともに爽やかに健康になるもの、というイメージです。
でも、ここで語られている瞑想は、通常の瞑想とは、まったく次元が違う深い深い瞑想ですね。
本当の瞑想とは、こんな凄い世界なのか、と驚きすら感じます。
3、苦・集・滅・道の四諦
ここにみられるように、釈迦はその超人的な深い瞑想によって、人(さらに動物なども含めて)の生まれ変わり死に変わる姿を観たのでした。
「第一の智慧」では、自分の無限の生まれ変わりの姿を見たのです。
さらに「第二の智慧」では、あらゆる生物・生命の無限の生まれ変わりの姿を見たのです。
生き変わり死に変わる、あらゆる生命の状況を自ら確かめて、自分でありありと〈観た〉のです。
そして、「第三の智慧」で、「苦・集・滅・道の四諦」を知ったのです。
では、最後の部分に出てくる「苦・集・滅・道の四諦」とはどういうものでしょうか。
なんだか難しそうですが、実は簡単なのです。
これは「縁起の法」といわれるものです。
〈縁りて(よりて)〉の縁と、〈おこる〉の起とで、「縁起」と言います。
つまり、「すべてのものは、縁によって生起し、縁によって消滅する」」ということです。
ですので、この世に「実在」するというものいうものはなに一つなく、ただ、縁によって「存在」しているにすぎない。
すべて縁によってあらわれ、縁によって変化し、縁によって消えていく、ということです。
わかりやすく解説しますと、次のように4つの図式になります。
これあるによりてこれあり
これ生ずればこれ生ず
これなきによりてこれなく
これ滅すればこれ滅す
この4つの図式が、人間にとって最大のテーマである「苦」を主題にのべられたのが、上の瞑想にある第三の智慧「四諦の法門」なのです。
それは、次のようになります。
「苦」
あなた、苦しんでいるでしょ。
はい、苦しんでいます。どうしてでしょうか?
「集」
それは、集めているからです。苦しみの元となるものを集めているのです。
ではどうすれば、よろしいのでしょうか?
「滅」
滅すれば良いのです。苦しみの元となるものを、なくしてしまえば良いのです。
そうですか。では、苦しみの元となるものを滅するには、どうすれば良いのでしょうか?
「道」
苦しみの元を断ち切る「道」教えてあげます。その「道」を歩みなさい。
これが、「苦・集・滅・道の四諦」です。
「四諦の法門」を仏教の解説書なんかを読むと、なんだかよくわからない難しい解説が載っています。
読めば読むほどわからなくなってしまいそうですが、そんなに難しく考えなくても良いのです。
このように、釈尊は、人(そして、あらゆる生命)の輪廻転生する姿を観て、その苦しみの状態「苦」を説明し説いたのでした。
その上で、そうした「苦」を解決するための方法を、われわれに残してくださったのです。
2、釈迦の生きた時代とその生涯
1、釈迦が生きた古代インドの風景
さきに触れたように、二千数百年前の古代インドでは、人(ほかの動物たちも含めて)は輪廻転生(生まれ変わり)をするということが当たり前のこととして考えられていました。
現在のインドでもそうした考えを持っている人がほとんどだと言われます。
当時のインドにおいてひろくおこなわれていた宗教はバラモン教というものでした。
釈迦が生まれる数百年も前から、バラモンの経典の聖典『奥義書(ウパニシャッド、उपनिषद्)』によって、人間は輪廻転生するという思想は確立されていたのです。
その思想の根底には、輪廻転生と、それを成り立たせる〈業(カルマ)〉の問題があったのです。
それが、「業報輪廻(ごっぽうりんね)」の思想というものです。
善をなせば福徳を得るという果報があり、悪を行えば不幸な結果を招くという、善因善果、悪因悪果の考えが、「業報思想」というものです。
もっとも、この善因善果、悪因悪果の因果説は、インドのに限らず、古今東西を問わず、いずれの社会にも存在した観念でした。
2、「業報思想(ごっぽうしそう)」とは
さて、「業報思想」では、
原因と結果とのつながりが、かならず同一人格の上にあらわれる
というのです。
つまり、自分がなした行為の結果を、自分が受ける、とうことです。
「自業自得」というものです。
ただし、この場合、その原因としての善悪の行為が、その結果をうけるのは、必ずしもその人の生きている間というわけではありません。
その結果は、死後の来世においてもうけることになるのです。
因果の連鎖は、前世・今世・来世というように、三世を通じて現れるとされます。
実際のところ、私たちの周囲を見ていると、悪人が栄えて、善人が馬鹿を見る、って話はよくありますね。
有名人を見てもわかります。
素晴らしい人格者と思われている人が、晩年は寂しくて、病気などで苦しい最期を遂げることは、しばしばあります。
逆に、反社会的な人生を送って富を築いた人が、大往生をした、ってこともあります。
そうなると、因果の法則も何もあったものじゃない。
人は、やりたい放題、好き放題にすれば良いじゃないか、ってことにもなってしまします。
しかし、「業報思想」では、そうじゃないのだ、と言います。
善悪を行った場合、必ずしもそれが、今世において、結果が形となって現れるものではないのです。
それは、来世に現れるのです。
ということは、ひとは「死」という現象に遭っても、それですべて消滅してしまうのではないということになります。
その存在は(なんらかの形をもって)、依然としてつづく、という考えです。
これが「輪廻」という考えです。
輪を廻るという文字通り、果てしなくグルグルとめぐっていくという意味です。
そして、生命が存続し、色々な世界(たとえば天界・人界・畜生界・地獄界など)を転々と経めぐる等のです。
これが仏教で言うところの、「三界六道」の輪廻のことです。
そして、釈迦ご自身が、様々な〈業〉を積んだ人たち(動物も含めて)の生まれ変わりしてきた生命を、ありありと見たのです。
3、まとめ
- 釈迦が生まれた、二千数百年前の当時の古代インドでは、人(ほかの動物たちも含めて)は輪廻転生(生まれ変わり)をするということが当たり前だった
- 釈迦自身が、果たして輪廻転生という現象が事実であるかどうか、みずからその真偽を確かめた
- 釈迦ご自身が、輪廻転生について、自分で確かめ、観たその様子が「中阿含経」において語られている
- 苦・集・滅・道の四諦を説いた
- 「業報思想(ごっぽうしそう)」とは さて、「業報思想」では、原因と結果とのつながりが、かならず同一人格の上にあらわれる、というものである
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