カルチャー 芸術

〈石田徹也〉を知っていますか?・・・夭折の天才画家をご紹介します。

 

みなさん、こんにちは。

 

石田徹也という画家を、みなさんはご存知でしょうか?

石田徹也さんは、私の心を揺さぶった、すごい作品たちを描き続けた画家なんです。

 

ここでは、石田徹也さんとその作品が、どのようなものなのかをご紹介したいと思います。



Contents 目次

1、石田徹也ってどんな人物

 

石田徹也(ここからは敬称略します)は、NHKの「日曜美術館」などにも紹介された事もある、素晴らしい作品を残した画家です。

 

まず初めに簡単にその経歴を、ご紹介いたしましょう。

 

1973年6月16日、静岡県焼津市生まれ。

4人兄弟の末っ子として生まれました。

子供の頃から、絵が得意だったと言います。

5年生の時、県内の絵画コンクールで最優秀賞を受賞しています。

 

18歳の時、武蔵野美術大学に入学。

学生時代から様々な賞を受賞しています。

イラストレーターとしての仕事もやっており、スポーツ雑誌の「Number」の最後の読者ページに挿絵を描いたりしています。

 

石田の作品は大きいサイズのものも多く、そのため高い画材を使うため、切り詰めた生活をしていたといいます。

そして主に夜間のバイトを続けながら絵画制作に没頭したといいます。

 

〈石田徹也〉

 

夜中のコンビニエンスストアの店員や、道路工事の警備員など、人とあまり話さなくても良い仕事を選んでいたそうです。

その中でも工事現場の警備の仕事で、同僚がトラックに轢かれるという事故死を経験もしています。

その時に経験したの辛さを表現した作品が「残骸」(2004年)という作品です。

 

石田の母は、生活費の援助を申し出たが、「自分がダメになるから」と言って母の援助を断ったそうです。

また2003年ごろには、一時、重度の肝臓病も患っていたといいます。

その時期にできた作品が、己決定』(2004年頃)です。

 

2005年5月、31歳で踏み切り事故で亡くなっています。

亡くなるまでに200点以上の作品を残しました。

 

2009年にはご遺族が紫綬褒章を受賞されました。

2019年には、スペインの首都マドリードの国立美術館にて個展が開かれ、31万人もの入場者を集めました。

 

こうした経歴の石田徹也の作品には、当然ながらすべてにわたって、何か深く考えさせられるパワーが宿っているのですね。

 

石田徹也遺作集

2、石田徹也、その絵画芸術の特徴

1、ほとんど全ての作品に本人が登場している

 

石田徹也の作品の特徴としてあげられることは、ほとんどすべての作品の中に本人?が登場していることです。

 

石田本人と思われる人物が、日常生活の中で不思議な状態で作品の登場人物(物)となっているのです。

石田自身が一枚の画面の中に複数登場している場合も多い。

人間として登場することはもちろん、石田が物や建物の一部になっている場合もあります。

人物が、子供の姿で表現されている場合もあります。

 

作品の人物には、通常は笑顔はなく虚ろな眼差しをしています。

どれも目の焦点があっていない。

人が物として扱われているような、この世界の現実を表現されていると考えられるのですね。

 

『制圧』(2004年 530mm×455mm)

 

現代の企業社会において、若者たちは、「いくらでも代わりがきく」存在と見なされたりします。

それは、取り替えのきく「在庫」であり、あたかもベルトコンベアーに乗せられるように、人間の使い潰しが行われています。

石田は、そうした現代社会の歪みを、観る者の心ににズバリと伝えるように表現しているように思われるのですね。

 

石田が残した200点以上の作品は、板やキャンバスに、アクリル絵の具や油絵の具を使用して描かれています。

大きな作品も多く、『子孫』では、なんと2006mm×2912mmの大きさで表現されています。

 

2、シュールレアリスト・石田徹也

 

石田の作品をシュールレアリズムと言ってもよいのでしょうか?

本人はどう言っていたのかはわかりません。

 

その作品の特徴としては、サルバドール・ダリ(Salvador Dalí )ルネ・マグリット(René Magritte)と同じくリアルな描写をおこない、現実にはあり得ない情景を描いているということがあげられます。

 

また、その絵画の発想がまさに天才ですよね。

その創作のプロセスにおいて、着想を書き留めていたアイデア帳やスケッチブックなどがノートに50冊以上が残されており、作品の下絵や多くの言葉が残されているのです。

そこには数多くの映画の感想も書かれており、映画からもヒントを得ていたようでした。

 

また、絵入りの日記で、自分が見た夢のストーリーを書き留めていました。

そこからインスピレーションを得ていたそうです。

 


石田徹也ノート

石田の作品には、洗面台が登場人物(石田自身か?)と合体して涙を流していたり、苦悩の姿勢をしていたり、あるいは飛行機や校舎と合体したりしています。

登場する人物が物、建物などへと様々な合体・変形・変化をして、観る者を不思議な世界に誘っていくのです。

 

その創作ノートに、

「生きることの辛さをストレートに出すのではなくギャグとか皮肉を込めて描きたい」

と石田は書いています。

 

ただ石田の作品は、落ち着いた自宅の居間や会社の応接室に飾れるかといえば、それは抵抗を感じる人が多いのではないでしょうか。

 

これは他のシュールレアリズム画家の作品にもある程度同じような傾向がみられます。

それが、石田作品の場合には特にその傾向が強いと言えます。

 

そこに石田芸術の特徴が隠されているように思うのですね。

 

3、心地よくない芸術

 

岡本太郎は、つねづねその芸術論の中で「芸術の三原則」というのを言っていました。

 

「芸術の三原則」とは、次のようなものです。

芸術は、

  1. 綺麗であってはならない
  2. 上手くあってはならない
  3. 心地よくあってはならない

 

石田の作品には、今を生きる人の心の叫びがきこてきそうな感じがします。

石田徹也芸術は、人間の本質的な悲しみや苦しみ、そして不安や疎外感、アイデンティティーの危機などが表現されているのです。

 

作品を見ていると、登場人物(石田本人)の、その虚ろな眼差しには、人の心の奥をみすこすような力が感じられますね。

 

ですので石田の作品を自宅の居間で落ちついて鑑賞しようとしても、それは難しいでしょう。

観る人の心の奥底を動かすような力があり、じっと深く考えさせられるために、とても落ち着いてはいられないからです。

 

まさに、岡本太郎がいう〈心地よくない〉芸術です。

 

そもそも〈絵画とは何か〉と問われれば、「それは鑑賞して楽しむものだ」という人が多いのではないでしょうか。

 

『囚人』(1999年頃 1030mm×1456mm)

 

ところが石田の作品は、確かに観る者が楽しむことはできるでしょう。

しかし同時に「それだけでは終わらせないぞ!」と、別の世界に引き込んでいく力が宿っているのです。

ここに石田芸術の特徴と問題点があるように思われるのです。

 

もし石田徹也が、31歳の若さで亡くならなかったならば、その後の彼は、いったいどのような作品を描いていったでしょうか?

 

ダリのように宗教的な作品を多く描くようになっていったのでしょうか。

あるいは、彫刻や映画製作などに向かっていったのでしょうか。

それとも、「小説家・石田徹也」とか「詩人・石田徹也」が出現したのでしょうか?

 

このように石田徹也の作品を観ながら、いろいろな想像を膨らませるのもよいかもしれませんね。

 

3、やっぱり、石田徹也の絵画は面白い

 

私が石田徹也の作品が好きなのは、先に述べましたように、ダリの作品と同じく、現実にはあり得ない光景が、リアルな描写で描からているところです。

 

何よりもその発想が面白いでしょ。

写実的に描かれているために、現実世界のように思える。

 

でも、現実には絶対に起こりえない。

ですので観ている人を、不思議な感覚の世界に誘ってくれるのです。

 

日々の生活にストレスが溜まり、行き詰まっている人は、石田作品を観る事によって、狭い自分の世界を打ち破る突破口になるやもしれませんよ。

いや逆に、ストレスがますます溜まるかもしれませんが。(笑)

 

『温室』(2003年 727mm×919mm)

 

石田徹也の作品を観ていると、絵の中では〈何でもあり〉なんだなぁ、と教えてくれますね。

 

いや、これは絵の中だけの話ではありません。

普段の日常生活においても、〈何でもあり〉と思えれば、“悩み”を解決する糸口が見つかるやもしれません。

 

このように石田徹也の作品には、観ている人を深く考えさせる力があると同時に、鑑賞者のこれまでの狭い世界観を打ち破る力があるのです。

 

石田徹也の作品は、観ている人を大きく成長させる力が宿っているのです。

 

【参考文献】  『石田徹也遺作集』(求龍堂)

        『石田徹也ノート』(求龍堂)

        『石田徹也全作品集』(求龍堂)


石田徹也全作品集

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