健康

その〈リード・タイム・バイアス〉に気をつけろ!・・・「抗がん剤」は、どうする?

 

みなさん、こんにちは。

 

いきなりですが、〈リード・タイム・バイアス〉ということ言葉を聞いたことがあるでしょうか?

これは簡単に言いますと、

「病気が早く見つかると、発見が遅かった人より、診断がついてからの生存期間が延びる」

というものです。

 

実はこれ、トリックなのです

 

今日はこの話をしてみます。

 

1、これが、〈リード・タイム・バイアス〉というトリック

1、簡単なトリック

〈リード・タイム・バイアス(Lead time bias)〉は、医療界でよく使われるトリックです。

 

まずわかりやすいように、〈リード・タイム・バイアス〉の一例をあげてみましょう。

30年前は、このタイプの大腸がんの生存期間は6か月程度でした。当時は、大腸がんの抗がん剤は、1種類しかありませんでした。でも、この15年ほどでいい抗がん剤がいろいろ出てきたのです。

だから、今は生存期間が24カ月にまで延びました。

 

このように言われたら、どう思うでしょうか?

 

半年しかもたなかったがんが、現在では24カ月(2年)に延びたというのです。

単純に考えれば、医療の進歩(抗がん剤の進歩)は素晴らしいなぁ、って思ってしまうでしょ。

でも実は、そうではないのです。

 

この30年の間で変わったのは、CTやエコーなどが普及したことです。

つまり、30年前なら見つからなかったがんが、より小さいうちに発見できるようになったということなのです。

 

2、大腸がんの肝転移

 

上の説明では、まだちょっとトリックが分かりにくいかもしれません。

もっと詳しく、ここでは大腸ガンを例にあげて説明しましょう。

 

大腸がんの寿命はほとんどは、肝転移によって決まるそうです。

30年前は、医者が肝臓のあたりを手で触って“しこり”が出来ているかどうかを確かめる方法が中心でした。

これを「触診」といいます。

 

肝臓に転移したがんが、直径8cmくらいになっていると、ようやく触診で発見できるようになります。

 

 

直径が8cmぐらいになると、その生存期間中央値(半分の人がなくなる期間)が6カ月だそうです。

 

さて、現在は、CTなどの検査技術が進歩してきましたので、1cm程度の肝転移を発見することが出来るようになっています。

その1cmの転移病巣が8cmに育つまでにかかる期間が、平均で18カ月だそうです。

 

3、進歩したのは検査方法であって、抗がん剤ではない

 

つまり、検査技術の進歩によって、30年前に比べると、今の方が18カ月も早く肝転移を発見できるということです。

 

もうそろそろ、トリックがおわかりでしょう。

 

なんのことはない、かつては、あと残り6カ月しかない状態でやっと発見された転移がんが、現在では生存期間24カ月(2年)の段階で発見できるようになっただけなのです。

 

治療効果が高い抗がん剤の種類が増えたということでは、まったくないのです。

新薬で生存期間が延びたのではない、ということです。

 

 

初めにあげた例では、あたかも、抗がん剤の種類が増えて、しかも、治療効果が高い抗がん剤になったというような言い方でした。

 

これが、〈リード・タイム・バイアス〉というトリックです。

 

4、「画期的な進歩」に飛び乗らない

 

さて、こうした医者の言葉の締めくくりによく使われる言葉は、およそ次のようなもののようです。

患者さんにとっては、治るかどうかが大切なことでしょう。2年延命ではご満足いただけないでしょう。

しかし、抗がん剤治療に長く携わってきたわれわれにとっては、これは画期的な進歩なのです。努力を重ねて重ねてここまできたことに、ご理解を頂ければと思います

と。

 

ですので、医療界で

「新薬で生存が伸びた」

「画期的な進歩」

という言葉を聞いたら、それに飛び乗ってはいけません。

 

〈リード・タイム・バイアス〉ではないかとよく注意を払うことが大切になってくるのです。

 

2、「余命判断」は当てにならない

ここでは、〈リード・タイム・バイアス〉に関連して、余命判断(余命診断)について見てみます。

 

1、人の死は予想できない!

 

誰であっても、人の命があとどれくらいなのかを正確に知ることはできません。

 

もっとも予知能力者とか、非常に優れた占い師ならば、人の死を予知することが出来るそうです。

でも運命学(占い)の世界では、「人の死は言ってはならない」という鉄則があるそうです。

 

それはともかく、医師の余命診断にはあてにならないことが多いようです。

 

なぜなら、人間の身体というものは人それぞれにおいて違いがあるし、病気の性質にもちがいがあるからです。

同じがんといってもその治療効果も進行速度もちがうからです。

 

 

2、「余命判断」があてにならない理由

 

ここでは、余命判断(余命診断)があてにならない理由をあみてみましょう。

 

それは、次の3つあげられます。

  1. がんの成長速度が違う
  2. がんが育つには時間がかかる
  3. がん細胞の成長スピードがおそくなる

です。

 

1、がんの成長速度が違う

がんが見つかっても、それから先の成長スピードは人によって違うようです。

見つかった時に病巣が大きくても長生きする人もいるようです。

さらによく言われるような、年を取るとがんの進行が遅くなる、ということも一概には言えないそうです。

 

2、がんが育つには時間がかかる

がん病巣が人の命を奪うまで育つには意外と時間がかかるようです。

 

多くのがんは直径が10センチぐらいにならないと人を殺せないといいます。

がん細胞が2倍になるのに、平均2カ月以上かかります。

1センチのがんが10センチになるには20カ月以上かかることになります。

 

そうであっても、そんな先のことは誰にも予想できません。

 

3、がん細胞の成長スピードがおそくなる

がんは大きくなるにつれて、成長スピードがスローダウンすることが多いようです。

時には、がんが自然消滅する場合もあるのです。

 

これは進行がんだけではないのです。

早期がんもそうで、発見された時以上に大きくならない早期がんは珍しくないそうです。

 

 

3、余命診断が予想できる場合

 

以上のような理由で、余命診断は非常に難しいようです。

 

そんな中で、ある程度は余命診断が正確にできる場合もあるそうです。

 

それは、脳、肺、肝臓などの重要臓器がやられて機能が衰えたときで、余命診断がある程度できるようです。

たとえば肺がんが増大して呼吸が苦しくなって、治療法がない場合には「余命はあと数か月だろう」と予想できます。

 

ただし、重要臓器にがんが見つかっても、自覚症状がなく、機能不全もなければ、ずっと長生きできるようです。

 

その場合であっても、抗がん剤治療をするとすぐに死んでしまいますが。

 

3、まとめ

 

私たちは〈リード・タイム・バイアス〉に気をつける必要があります。

「余命判断」も難しいことを心に留めておかなければいけませんね。

 

ですので、普通に病院に歩いて行けたのに、医者から「余命はあと3か月」とか「余命半年」というような場合は、容易に信じてはいけませんね。

 

「抗がん剤を使わなければ余命3カ月。使えば1年」などと、治療の勧めとセットになっていたら特に要注意です。

すぐに逃げかえるほうが良いでしょう。

 

そのような場合は、〈セカンド・オピニオン〉を聞きにいくことも、考える方が良いでしょう。

(セカンド・オピニオンについては、以前の記事に書いてありますので、それをご参照ください。)

 

【参考記事】セカンド・オピニオンのコツと裏話を描いてみました。⬇︎

〈病気〉と診断された時の、セカンド・オピニオンは?(ココだけの話)

 

  • 〈リード・タイム・バイアス〉は、医療界でよく使われるトリックである 
  • 進歩したのは検査方法であって、抗がん剤ではない 
  • 「新薬で生存が伸びた」「画期的な進歩」という言葉は、眉に唾をつけて聞く 
  • 人の死は簡単には予想できない

 

【関連記事】気分がすぐれない時、不調の時のために。

心が疲れたとき、あなたはどうする?【精神科編】

 

専属サポーター付きで安心婚活!スマホの結婚相談所 【naco-do】

-健康

© 2025 100日で変われるページ Powered by AFFINGER5