みなさん、こんにちは。
人は輪廻転生するとしたら、次は別の問題が出てきますね。
それは、はたして、次の生は同じく人間に生まれ変わることが出来るのかどうか、ということが心配になってくるでしょう。
今回は、そのお話です。
Contents 目次
1、盲亀浮木(もうきふぼく)の喩え
1、仏教では輪廻転生をどう説かれているか
仏教では、人間に生まれることがいかに難しくて、ありがたいことかを説いています。
仏教の開祖であるブッダ釈尊は、それをわかりやすい喩え話を使って弟子たちに説明したのです。
それが、「盲亀浮木の喩え」です。
盲目の亀を題材に説明されています。
釈尊が説かれた増阿含経(ぞうあごんぎょう)に、それがのっていますので見ていきましょう。
それは次のような話です。
2、いかに人間に生まれることが難しいか
ある時、釈尊がアーナンダ(阿難)に、
「ここに一人の人がいて、果てしなく広がる海に、一片の軛(くびき)を投じたとする。
そしてその軛には、1か所だけ穴が開いていたとする。
ここに、一匹の目の見えない亀がいる。
その盲亀は、100年に一度だけ海面に浮かんできて顔を出すという。
その亀が、海面に浮かび上がった拍子に、その軛の穴にひょいと首を入れることがあるだろうか?」
アーナンダはそれをきくと、
「世尊(釈尊)よ、そんなことはとても考えられません。
もしそういうことがあるとしても、いつのことかわかりません」
「その通りである。
だが、100年に一度だけ海面に浮かぶ盲目の亀が、軛の一穴に首をいれることよりも、なお稀有なることがあるのだ。
それは、ひとたび悪しきところに堕ちた者が、再び人間として生まれるということは、さらに稀有であるということである。」
軛(くびき)というのは、牛馬の首に充てる横木のことです。
頸木とも書きます。
軛(くびき)
釈尊は、この喩えによって、
「人間に生まれることは、この盲目の亀が軛の穴に首を入れることよりも、難しいことなのだ。それくらい有り難いことなのだ」
とおっしゃっているわけです。
わかりやすい喩えですね。
2、ブッダ釈尊(釈迦)が説く、「輪廻転生」とは
はたして、人間が人間以外の生物(動物など)に生まれ変わるってことはあるのでしょうか⁈
それを知るために、ブッダ釈尊ご自身が、それを語った別のお経があります。
1、『雑阿含経(ぞうあごんぎょう)・母乳経』
ここでは、『雑阿含経(ぞうあごんぎょう)・母乳経』の現代語訳をみてみましょう。
このように私は聞きました。
仏さま(仏陀釈尊・釈迦)がコーサラ国の祇園精舎(ぎおんしょうじゃ、祇樹給孤独園)にご滞在の時のことです。
仏さま(釈迦)は弟子たちに告げられました。
「衆生は始まりのない昔から生死を繰り返し、無明におおわれて、愛(愛結)にその首は繋がれ、果てしもなく長い間、輪廻転生を繰り返し続けるだけで苦しみの根本を知らないのです」
(中略)
仏さまは弟子に告げられました。
「よし、よし、その通りです。
おまえたちが輪廻転生を繰り返す間に飲んだ母乳は、恒河(ガンジス川)と四大海の水量よりも多いのです。
なぜならば、おまえたちは輪廻転生中に、ある時はゾウとして生まれ、その時飲んだ母乳は極めて多量です。
また、時にはラクダ・ウマ・ウシ・ロバや種々の禽獣として生まれ、その時飲んだ母乳の量も極めて多量です」
ここで釈尊は、人間は(動物なども含めて)それだけ無限の輪廻転生を繰り返してきている、と説いているわけですね。
時にはラクダ・ウマ・ウシ・ロバや種々の禽獣として生まれ、その時飲んだ母乳の量も極めて多量である
と、非常にわかりやすい話で説明されていますね。
つまりここでも、必ずしも人間として生まれ変わるのではない、とおっしゃっているわけです。
続きをみてみましょう。
「また、おまえたちは、輪廻転生の間に、時には墓場に棄てられて膿や血が多量に流出し、またある時には地獄・餓鬼・畜生の三悪趣に堕ち、髄血が流出することも同様に多量です。
弟子たちよ、おまえたちははじまりのない昔から生死を繰り返していますが、苦の根本原因を知りません。
弟子たちよ、物質的現象は永遠に変わらず存在し続け得るものでしょうか。
あるいは変化するものでしょうか」
弟子たちは仏さまに申しました。
「世尊よ、永遠に変わらず存在し続けるものではありません」
と、このように、釈迦とその弟子達との会話(問答)が行われています。
なんと、
膿や血が多量に流出して、またある時には地獄・餓鬼・畜生の三悪趣に堕ち、髄血が流出することも同様に多量にあるぞ!
と表現されています。
2、釈尊自身が見た、輪廻転生の有様
釈尊ご自身が、ありありと人や動物の前世の姿を見て、弟子たちに説明しているのです。
この中で、釈尊は、非常にわかりやすく、人の生まれ変わり(輪廻転生)を説明をされていますね。
人間は(動物なども含めて)、
それだけ無限の輪廻転生を繰り返してきている
と釈尊は説いているわけです。
ここでは、釈尊は、自分自身でその超人的な透視能力によって、あらゆる生命の生まれ変わりの姿をみたのでした。
ひとの人間以外の動物であった時のことも観て、その時に飲んだ母乳の量のお話をされているのです。
人は輪廻転生(生まれ変わり)をこれまでにずっと続けてきた、と釈尊はいいます。
それは無限に長い時間を何度も何度も繰り返し、生まれ変わりをしてきている、というのです。
しかも、人間ばかりの生まれ変わりではありません。
かつて動物などの他の生物であった時もあった、ということです。
しかもなんと、これまでに飲んだ母乳の総量が、ガンジス川と世界の大会の水の総量よりも多いというのです。
このように、人をはじめとするあらゆる生物は、無限の輪廻転生の輪をめぐり巡って生きているのですね。
これほどわかりやすい説明はないのではないのではないですね。
こうした
無限ループの「輪廻転生の輪」から抜け出し、一切の苦しみのない境界を目指すのが、ブッダ釈尊が説いた仏教の教え
となります。
今回は、人間として生まれてきていることがいかに有難いか、のお話でした。
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