今回は、〈生まれ変わり〉についてのお話です。
今回も前回と同様に、まず2つの事例をご紹介したいと思います。
そして、〈生まれ変わり〉についての特徴などについても、ざっと超簡単にまとめてみました。
世界的にも知られている名著『前世を記憶する子どもたち』(イアン・スティーヴンソン著、日本教文社)には、いろいろな事例が載せられています。
ここではまず、その事例から引用してご紹介したいと思います。
【関連記事】仏教における生まれ変わり(輪廻転生)については、この記事をご参照ください。⬇︎
Contents 目次
1、姉妹で同じ両親の元に生まれ変わった事例
これは、ジリアン・ポロックとジェニファー・ポロックという双子の姉妹のお話です。
姉妹は、一卵性双生児でした。
前世でも姉妹であり(双子ではなかった)、その姉妹の特徴を引き継いでいる事例です。
1957年5月5日、発狂した女性が歩道にわざと車を乗り入れ、そこを歩いていたジョアンナとジャクリーン姉妹を一瞬のうちに轢き殺した。
その時ジョアンナは11歳、ジャクリーンは6歳であった。
この事故の後、1958年10月4日、イングランド最北部のノーサンバーランド州ヘクサムにて、ジリアンとジュリアンの二人が、同じ夫婦の子供として生まれたということです。
この双生児は、2歳から4歳までの間に、ジョアンナとジャクリーンという二人の姉の生涯を記憶しているとみられる発言をいくつか行なったといいます。
夫婦は、双生児が生まれてから、
「(亡くなった妹の)ジャクリーンの体にあった二つの傷跡と大きさも部位も一致する母斑が、妹のジェニファーの体にあることに夫婦が気づいた」
といいます。さらに、
「ジェニファーの眉間にある母斑は、ジャクリーンが昔倒れて付けた傷と一致していたし、ジェニファーの左腹部にある茶色の母斑は、ジャクリーンにあった同様の母斑と一致していた」
ということです。
死んだ姉たちが持っていた、あるいはそれでよく遊んでいたおもちゃのような物品もいくつか見分けている。
(中略)
死んだ二人の姉のことを双生児と話し合ったことは一度もなかったし、双生児のふたりは、そうした物品を初めてみたときにわかったのであって、それをみているはずがない、というのである。
ジリアンとジェニファーは、死んだ姉たちと一致する行動も示した。
ジャクリーンは姉のジョアンナにかなり頼っていたが、それとちょうど同じように、ジェニファーも(双生児の)姉のジリアンをかなり頼りにしていたのである。
ふたりが字を習っている時、ジリアンは鉛筆を難なく持てたが、ジェニファーは手で握りしめてしまった。
ジョアンナは、死亡するまでの数年間、鉛筆を正しく持って書くことができたが、(死亡した時点でわずか6歳だった)ジャクリーンは、筆記用具を握って持つ段階に留まっていたのである。
この事例では、前世で車に轢かれてほぼ同時に亡くなった姉妹が、わずかその1年5ヶ月後に、なんと同じ両親の元に、しかも、一卵性双生児として生まれ変わった事例です。
たくさんの生まれ変わりの話がありますが、ここに紹介されているように姉妹が同じ両親の元のに生まれ変わるというのは、珍しい事例のようです。
この姉妹は、年が離れた姉と妹という関係を引き続いていたり、前世での物品を見分けたりしています。
しかし、前世と今世との間の〈あの世〉の記憶は語られていません。
ジリアンとジェニファーは、その後正常な女性として成長を遂げたそうです。
そして大人になる以前にふたりは、前世に関する記憶を完全に喪失してしまったといいます。
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2、前世が男性だったために、今世では男性を愛せない女性
次に、『生まれ変わりの村①』(森田健著、河出書房新社)に載せられている話です。
この人は、男性から女性に生まれ変わった事例です。
〈前世(男)〉
前世は羊飼いで、男性でした。
17歳のとき、崖に咲いていたきれいな花を採ろうとして、羊と一緒に下に落ちてしまいました。
洪水があって土が崩れやすくなっていたのです。
〈あの世〉
ある力に押されて突然飛んだような感じになり、あの世に出ました。
少し暗くなったところから、突然明るいところへ出た感じです。
庭にはたくさんの人がいてスープを飲んでいました。
スープは池のようにたっぷりと作られていて、みんなは何も持たず、まるで動物のように飲んでいました。
スープの中にはいろいろな具も入っているようでした。
この人は、〈スープの伝説〉を知っていたために、スープを飲まなかったそうです。
森田氏の取材した地域では、前世記憶者が多いのですが、スープの話がよく出てくるそうです。
スープを飲むか飲まないかが前世を忘れるか記憶しているかの分かれ目になっている
そうです(スープを飲まなければ記憶があります)。
〈質疑応答〉
「生まれ変わるまでなん年くらいありましたか?」
「半年くらいです」
「あの世から突然この世界に降り、大きな川の岸で顔を洗っていたとき(まだ魂の状態です)、馬車が来たのでその後ろについて行きました。そして突然明るくなったと思ったら、赤ちゃんになっていました」
〈今世(女)〉
「前世のことを思い出したのはいつですか?」
「子どもの頃から覚えていましたが、夢のように感じていました。10歳の頃、それが前世の記憶だとはっきり分かりました」
「今、結婚していますが、前世が男性だったの記憶がよみがえると頭が混乱してしまって、今の彼を上手く愛せません」
この事例では、10歳の頃に前世の記憶をはっきりとそれと認識したそうです。
たくさんの前世の記憶で報告されている例では、幼少の頃にはあった記憶が、思春期の時期、10歳くらいにはその記憶が薄れるか、人によっては忘れ去られてしまっている場合が多いのです。
ですがこの村では、大人になってからも前世の記憶を持ち続けている人が多いようです。
さらに、この人の場合、死んだ後のあの世での出来事も記憶しています。
そして、たったの半年ほどで生まれ変わってきています。
前世では男性であった時の記憶があるために、女性に生まれ変わった現在では、上手く男性を愛せなくて悩んでいるのです。
この女性の場合、記憶がなければよかったかもしれません。
本人も「前世は覚えていたくはありません」と言っています。
「前世の記憶は今の生活を送るのに影響が大きすぎますから。特に男女の性の問題は大きいです!」
なるほど、前世と今世で性に違いがあれば、前世の記憶をもっていることは、こうした心の葛藤につながるのも、理解できます。
前世の記憶がなくても、自分の性に対する違和感を持っている人はかなりいるようです。
その原因の一つに、こうした問題があるのかもしれません。
この人の前世も、1例目の姉妹と同じく事故死をしていました。
3、生まれ変わり、あるいは、輪廻転生のいくつかの特徴
『前世を記憶する子供たち』によると、前世での死から、
今世に生まれ変わるまでの間隔は、616例の中央値が15ヶ月だった
と言います。
最大値で25年
だったそうです。
死んでから生まれ変わったとされるまでの間隔が短いことが、前世の記憶を蘇らせる一因になっているかもしれません。
われわれ普通に生きていても、時間の経過に従って記憶が薄れていきます。
そこから、死んでから生まれ変わるまでの時間が長いほど、前世の記憶が薄れていく、あるいは、なくなっていく可能性があると思われます。
だとすれば、前世の記憶がある人の証言は、その間隔は、かなり短い人のみの例だと考えることができます。
世のほとんどの人が前世の記憶がありません。
そのことを考えると、数々の残されている証言での間隔に比べると、おそらくは、
〈前世で死んでから、今世で生まれ変わるまでの時間は、はるかに長い〉
ものと推測されるのです。
もっとも、すべての人が前世があると仮定しての話ですが。
では、死んでから、次の生を受けるまでの時間の長さは、どういう要因で決定されるのでしょうか?
それはわかりません、と今は言うしか他ありません。
時間が〈短い人〉、と逆に〈長い人〉とには、それぞれに特徴があるやもしれませんが。
さらに、ヒンズー教や仏教など、「輪廻転生」の考えがあるところには、そうでない地域よりも生まれ変わりの事例が多数報告されているようです。
これは当然と言えば当然でしょう。
なぜなら、生まれ変わりの記憶は、大抵は幼少期に残っているからです。
そして、成長するにつれ、思春期にはほとんどの記憶は薄れてしまうのが普通です。
つまり、幼少期に、前世の記憶があった場合に、それを気軽に話せる環境でなければ、子供は話さない、ということです。
「輪廻転生」あるいは、〈生まれ変わり〉の信仰が無い地域では、子供が、前世の記憶という〈変なこと〉を話し始めたときに、それを受け入れないことが多い。
頭ごなしに叱ったり、病院に連れて行って診察をしてもらうようなことになります。
そのような環境では、子供はその記憶を話さなくなるでしょう。
そしてその記憶を心の奥底に閉じ込めてしまって、そのまま忘れ去ってしまう可能性が高くなります。
ですので、「輪廻転生」の考えがある地域では、生まれ変わりの事例が、より多く報告されるのです。
さらに、今回の2例目のように、その村自体が前世の記憶を持って生まれて人が多い村の場合は、その記憶を成人になってからも記憶していることが多いことが考えられます。
それは、前世の記憶を話すことがタブーではないために、成人になっても記憶を持ち続けていることが考えられます。
しかし、2例目の女性のように、前世の記憶を持っているがために、性の問題に悩んでいる場合があります。
そう考えると、前世を覚えていることが、果たして良いことのなのかどうかはわかりませんね。
また、『前世を記憶する子供たち』によると、子どもの記憶は、前世最後の日の近辺で起こった出来事に集中する傾向があるようです。
前世の自分の死に様を覚えているというものが4分の3近くあり、しかも、自然死の時よりも横変死(事故死、他殺死、自殺)を遂げた時の方が、死の状況を記憶している比率が高いようです。
61%になるそうです。上にあげた2例とも前世では黄変死をしています。
死後の世界については、この記事をご参照ください。⬇︎
4、おわりに
さて、前回にもお話ししましたが、こうした「前世の記憶」の話を聞いた場合に、注意しておかなければいけないことがあります。
それは、
「これらの事例は、どこまでも〈順調に〉人間に生まれ変わった人の事例だ」
ということです。
つまり、幾つかの条件が揃って、〈順調に〉人間に生まれ変わった例だということです。
今回取り上げました2例とも、前世は非常に悲しい死に方をしています。
残された家族は、どんなに辛い思いをされたことでしょう。
こうしたことを考えれば、
「死んでも、どうせ次にまた同じように人間として生まれ変われるじゃないか」
というような簡単な考えはできなくなるでしょう。
残された家族や周囲の人が大きな悲しみを味わうことを忘れてはいけません。
何よりも、次には無事に人間に生まれ変われないこともあるのです。
場合によっては動物や爬虫類になってしまうやもしれないのです。
次回には、なぜ前世で横変死した人の方が、〈前世の記憶〉を持っている比率が高いのか、などを検証していきたいと思います。
乞うご期待!
5、まとめ
- 前世で死んでから今世に生まれ変わるまでの時間が短いほど、記憶している可能性が高い。
- したがって、〈前世の記憶〉がない人の方が圧倒的に多いことから、実際には、前世から今世までの時間は非常に長い可能性がある。
- ヒンズー教や仏教など「輪廻転生」思想がある地域の方が、そうでない地域に比べて、前世の記憶の報告例が多い。
- 自然死の時よりも、横変死を遂げた時の方が、死の状況を記憶している比率が高い。