みなさんは、ご自身の「運」について、考えてみたことはあるでしょうか?
「どうも私は運が良くないなぁ」
と、これまでの自分を振り返って、弱気に思っている人も多いでしょう。
それとは、逆に
「オレは、強運を持っているようだ」
と自信を持っている人もいるかもしれませんね。
今日は、その「運」について、考えてみたのでお話ししてみたいと思います。
Contents 目次
1、「運」の良し悪し、強い弱い、で分類できる
運の分類には、実は4種類があるのを、ご存知でしょうか?
まず、2種類に分けて考えると便利です。
まずは次の通りです。
- 運が良い
- 運が悪い
と、もう一つは、
- 運が強い
- 運が弱い
です。
で、この2つのそれぞれの組み合わせで、次のように人を分類できるのです。
- 運が強くて、さらに運が良い人
- 運が弱いけれども、運が良い人
- 運が強いけれども、運が悪い人
- 運が弱くて、運が悪い人
となります。
この中で、人間として一番理想的なのは、「運が強くて、さらに運が良い人」です。
反対に、最悪なのは、「運が弱くて、運が悪い人」です。
残りの2つは、その中間になります。
1、「運が強くて、さらに運が良い人」
このタイプはわかりやすいですね。
詳しくは次の章でお話ししていきましょう。
2、「運が弱いけれども、運が良い人」
これは、運が弱いから、たいして大きな仕事はできない。
でも、運が良いから、それなりに成果を上げていくことができる。
こうした人です。
小さくまとまっているタイプですね。
3、「運が強いけれども、運が悪い人」
このタイプは、運が強いから、他人が取れないような大きな仕事を取ってくることができます。
ところが、運が悪いために、最後は必ず失敗をする、という人です。
何かを始めた時、最初はうまくいっても、次第に運が悪いことが起きて、結局は、大失敗に終わってしまうのです。
人によって違いはありますが、運が強い人は、さらに再起をかけてチャンスが巡ってきます。
しかし、やはり、結局は運が悪いことが起きて、大きな失敗をしてしまうのです。
4、「運が弱くて、運が悪い人」
これは、小さな事しかができないし、しかもそれすら失敗の連続だ、というタイプです。
何をやってもうまくいかないから、一生うだつが上がらないのです。
これが最低です。
もっとも、「運が強いけれども、運が悪い人」のような、「大きな失敗」をするところにすらいかないため、周囲への影響も小さいとは言えますが。
さて、「運か強くて、さらに運が良い人」とは、どういう人なのでしょうか?
ここでは、日露戦争の話を例に挙げてみます。
2、山本権兵衛が、東郷平八郎を抜擢した理由
日露戦争の話です。
時代は、明治36年です。
日本は、強国の帝政ロシアと戦端を開く寸前でした。
臥薪嘗胆(がしんしょうたん)!
日本全国民を挙げた緊張していたところです。
ロシアは、当時最大の陸軍国でした。
しかし、結局、勝敗の帰趨を決するものは、制海権であろうとみられていたのです。
要するに、海軍vs.海軍の戦いです。
その海軍の艦隊を率いてたたかう「連合艦隊司令長官」には、一体誰がなるのか?
軍関係者ばかりではなく、全国民の最大の関心の的だったのです。
そうしたなか、時の海軍大臣・山本権兵衛は、舞鶴鎮守府司令長官・東郷平八郎を任命したのです。
実はこれは、異常ともいうべき抜擢でした。
なぜなら、当時、任命されてしかるべき有能な先輩たちが、ほかにも何人かいたのです。
日高壮之丞、柴山矢八などという立派な海将たちがいました。
ことに佐世保の鎮守府司令長官である柴山は、十人が十人とも、おそらくこの人が連合艦隊の指揮をとることになるだろうと、考えていたほどです。
もちろん、東郷平八郎も優れた海将です。
しかし、序列を超えて東郷が抜擢されるほどには、この人たちを凌駕するずば抜けた能力があるとは思われていなかったのです。
ですので、山本権兵衛が東郷を抜擢したのは、エコヒイキであるとの、つよい批難の声が一部であがったのです。
しかし、当の山本は、いっさい意に介さなかったのです。
〈山本権兵衛〉
ある時、有名なジャーナリストが、このことについて山本に質問しました。
「あなたが東郷を抜擢したのは、彼のどういうところを買ったのですか?」
すると山本は、答えた。
「なあに、あいつは若い時から運のいい男でな」
「運がいいのですか?」
「そうだ。あいつほど運のいいやつはめずらしい」
と。
質問したジャーナリストは、しばらく絶句して、権兵衛の顔を見つめた。
3、結局、運が強くて良い人が最後には勝つ
要するに、能力にそれほど開きがなく、同じようなものだったら、結局、「運」のいい人間をとるべきじゃないか、というわけです。
戦争なんて、バクチ以外の何物でもないのじゃないか。
と、この豪傑と呼ばれた海軍大臣・山本権兵衛は、腹の中で考えていたのかもしれませんね。
結局、歴史はこの山本権兵衛の選択が大正解だったことを証明しています。
帝政ロシアが誇るバルチック艦隊は、バルト海のリバウ出港以来、不運の連続であったと海戦史は伝えています。
もちろん、38隻という大艦隊が、15,000カイリの長距離を乗り切って、半年近くの航海を続けて攻撃をかけてこようとするのです。
さまざまな困難や障害が生じるのは当然です。
〈東郷平八郎〉
しかし、とにかく、些細なことにまでバルチック艦隊は思いがけないトラブルの連続であったといいます。
これに対して、東郷率いる連合艦隊は、幸運の連続であったと言っていい。
4、まとめに
さて、この話でわかるように、組織の上に立つものは運が良くなければいけません。
運が悪い人が組織のトップに立っていると、その組織全体が不運の連続に見舞われるのですね。
東郷平八郎は、まさしく「運が強くて、さらに運が良い人」だったのですね。
そして、それをちゃんと見抜いていた山本権兵衛の人を見る鑑識眼は、素晴らしいものがあったと言えますね。
ここまで読んできて、皆さんご自身はどうでしょう?
私たちは、仕事でもなんでも、人は、運が良くて強いところに身を寄せて、自分の能力・才能・運を伸ばすようにすべきですね。
ご自分を振り返ってみて、自分の「運」は、どうですか?
「運」というものを、「強い・弱い」と「良い・悪い」の視点で考えてみると、自分や周囲の人を、また違った視点で、より深く理解できるかもしれませんね。
今日は、「運」ということについて考えてみました。